ある日、みなし残業制度を取り入れている私の会社で「君たちにはみなし残業代払ってるから、月に39時間は残業してね」と社長直々におかしな縛りをかけられました。
法律には詳しくないのですが、流石にこの発言はおかしいと思い、みなし残業について色々と調べてみました。
すると、やはりこの社長の発言はあまりにもおかしな発言だったのです。
みなし残業の本来の意義とは?
このみなし残業ですが、基本的な意味合いについては恐らくほとんどの方が把握されている内容でしょう。
その内容は、初めから残業代を給料に含めて支払いを行うというもの。
初めからこれだけの残業があるだろうとみなされている残業時間は会社によって異なりますが、私の会社では月に40時間分の残業代を「みなし」として設定されています。
なので、仮にひと月の残業時間が1時間だけだったり、20時間だったりした場合でも40時間分の残業代が給料に含まれた状態で支払われるという内容となります。
みなし残業のメリット
ここで一つ疑問としてあがるのは、「残業なんて、やった分だけ支払えば良いのでは?」という事でしょう。
実際に、今の会社で私もそう強く感じてしまっているのですが、実はこのみなし残業には会社側と社員側の両方にとって、メリットがあったのです。
社員側のメリット
まず、社員側のメリットに関しては、パッと見でも気づかれる方は多いでしょう。
そうなのです。
みなし残業が設定している会社では、効率よく仕事を行えば行うほど早く帰れるのに、給料には残業代分のお金が多く支払われるのです。
仮に1日1時間分の残業がみなし残業として含まれている会社であれば、1時間の残業を行なって普通の状態になり、定時で上がれる様にテキパキ作業すれば1時間分の残業代を余分にもらえるので、時給換算した時の自分の時給単価をあげることが出来るのです。
なので、社員側としては時給単価アップだけではなく、仕事への姿勢も改善されるので、良い事ずくめなのです。
企業側のメリット
これに対して、みなし残業制度を導入する会社側のメリットとは、一体どういったものなのでしょうか。
実は会社側のメリットはかなり単純なものだったのです。
その内容は、単に残業代の計算を行わず、一定額の支払い処理で行うことができるので、全社員の給与の計算がめちゃくちゃ楽になるというものでした^^
ただし、どうやらみなし残業制度を取り入れている会社であっても、従業員の勤務時間の把握を行う義務自体は必要らしく、うちの会社でもタイムカードの管理は徹底しており、管理する部署も出退勤の時間の管理作業自体は残っているそうです。
みなし残業の悪用を行う企業
上記の様に、通常はみなし残業は会社側と従業員側の双方にメリットのある制度となっています。
が、悲しいことにこの制度を会社の利益確保(人件費削減)の為に悪用する会社が存在しているのです。
それでは、実際にどの様に悪用されている例があるのかを見ていきましょう。
定時で帰らせない
これは実際に私の会社で起きている事ですが、月に40時間分のみなし残業が設定されているうちの会社では、なぜか早く仕事が片付いた日でも月に39時間の残業を行う様に言われています。
この会社の面接で伺った残業の内容は、「皆んな日に1時間前後しか残業していないですよ」という事だったので、口では残業命令があるが仕事が終われば早めに帰っても大丈夫だろうと考えていました。
しかし、月の残業時間を18時間に抑えた翌月の頭に社長が呼び出しがあり、なんとお叱りを受けることになったのです。
社長曰く、みなし残業40時間付いているんだから、みなし残業分は働くべきだろうという謎の主張だったのです。
一応、みなし残業の概念を知らないだけの天然な社長なのかと思い、みなし残業とは何かを丁寧ににこやかに説明したのですが、「そんなルール会社に持ち込むな」と一蹴。
つまり、会社としてみなし残業の本当のルールを知っているが、そのルールを捻じ曲げて従業員の労働時間を強制的に引き延ばすことに利用していたのです。
固定給を異常に下げる
続いては、私の会社では起きていない事ですが、固定給を異常に下げて、低くなった時間にみなし残業を充てて見た目の月給を普通に見せているという例があります。
これはどういう事かというと、極端な例で言えば固定給を12万円にして、みなし残業代を6万円などで設定している会社です。
通常の会社であれば1日8時間勤務となりますので、残業なしでは月に160時間ほどの勤務時間となります。
固定給をこの160時間で割ると時給換算となるのですが、この場合なんと時給750円になってしまうのです。
現在、都道府県ごとに最低賃金は異なりますが、平均すると874円で最低でも761円となっているので、この場合は最低賃金を下回ってしまっている状況なのです。
つまり、会社は国が決めた人件費以下の費用で労働力を囲い込み、さらにみなし残業という制度を使って必要以上の労働を強いているのです。
超過分について
なお、みなし残業が30時間と定められている会社で、残業時間が30時間以上になった超過分に関しては基本的に追加で残業代を支払うルールとなっています。しかし、実際には超過分の残業代の支払いを行なっていない会社は非常に多く、企業に搾取されている会社員はかなりの数に上るそうです。
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みなし残業でも定時で帰って大丈夫!
以上が、私の会社の事情も含めた「みなし残業」の内容となります。
前述の通り、このみなし残業は双方にとってメリットがあるものとして設定されているものですが、これを悪用している会社が思っている以上に多いのです。
実際に、弁護士さんに依頼されている方もかなり大量にいる様で、その情報があちらこちらで確認することができました。
なので、もし現時点でそう行った悪質な会社に所属してしまっている方は、転職なり弁護士や労基など何かしら手段を講じるべきでしょう。