新しく導入された電子帳簿保存法により、会社ではなく副業として年に300万円以上の収入が発生する場合には電子帳簿による保管が必要になりました。
更に300万円以下であっても、事業所得ではなく雑所得に分類されないための対策として電子帳簿による請求書等の管理が必要になりました。
300万円の縛りだけであれば副業でも電子帳簿の導入をしなければいけないという方は少数になるでしょうが、雑所得という税金面での不利をなくさなければいけないという状況が発生したことにより、かなり多くの方が行動せざるを得ない状況になっています。
とはいえ、電子帳簿はfreeeなどの会計サービスに追加料金を支払う事で簡単に導入する事ができます。
が、それでも法改正のためにこちらの財布から追加費用が出るのは少しどうかと思いましたので、これを機に電子帳簿を自作してみることにしました!
ただし、電子帳簿として使用するにはルールを守る必要もありますので、その辺りの情報も交えてご紹介します。
電子帳簿保存法のおさらい
まずは、今回の電子帳簿保存法について、おさらいの意味も兼ねて簡単に情報を整理したいと思います。
概要などについては国税庁の公式HPに紹介されていますので、ここではあくまでも超簡単にまとめた情報のみ残すようにします。
該当する電子取引の種類
電子帳簿はその名の通り、今までレシートや領収書で保管していたものを電子データとして残す必要ができたというものです。
そこで、その電子データにはどのような電子取引が該当するのかを改めて明確にしておく必要があります。
電子取引に該当するもの
- スクリーンショット
- クラウドサービス
- 電子決済
- EDIシステム
- FAX複合機
- DVD等
ちなみに、データ形式であるPDFやPNG、JPEGなどに対しては指定はありませんので、その点は特に気にする必要はなさそうです。
電子帳簿の要件
そんな電子帳簿ですが、この後にご紹介する自作の際にも気をつけるべき要件があります。
この要件はすなわち電子帳簿として認められる条件ですので、これを理解していなければ自作したものの後からその電子帳簿は無効だと言われてしまう可能性も出てきてしまいます。
そうなると再度かなりの時間をかけて電子帳簿の作り直しが発生するので、必ず事前にチェックしておくようにしましょう。
真実性の確保
1つ目の要件は真実性の確保について。
これは簡単に説明すると、その電子帳簿にある請求書などの情報が正しいものなのかを証明できるようにしておくというものです。
具体的にはそのデータの改変を確認できる環境を整えておけというものです。
私の様に副業でされている場合は、仕入れや消耗品の購入のレシートがそのデータが本当であるという証明になりますので、法律上では紙の保管は不要になっていますが念の為全て保管しております。
可視性の確保
続いての要件は可視性の確保、つまりみやすい電子帳簿にしろということです。
一番いけないのは単にPDFや画像データだけを寄せ集めたファイルを電子帳簿にしようというパターンで、これだとどのデータがどの取引によるものなのか全く分からない帳簿になってしまいます。
そのため、取引年月日、勘定科目、取引金額などを検索機能を用いて作成できる帳簿にする必要があります。
電子帳簿を自作する方法
それではここからが本題。
実際に私が自作した電子帳簿を参考に、自作方法をご紹介いたします。
用いるのはExcelもしくはNumbers
今回、電子帳簿を自作する上で、その元データとして使用したのはExcelです!
もしこれが画像やPDFデータをベタベタ貼るだけOKなものであればWordやPowerPointなんかでも良かったのですが、各データごとに取引勘定や取引日などの情報もセットで保管しなければいけないという事で、これらの条件をクリアできるものがExcelもしくはNumbersでしたので、こちらで作成することにしました。
シートを最低2枚用意
次に作成するシートの枚数について。
私の場合は、そこまで収入・支出の合計取引数がそこまで多いわけではありませんので、シートは収入と支出の2枚だけをメインに使用しています。
※細かく言うと、3枚目のシートを作成して保管漏れが発生しない様にチェックシートとして使用しています。
ただし、前述の要件の紹介でもあるように、取引日などだけではなく勘定科目でも検索しやすいようにする必要がありますので、取引データが莫大な量になる場合はシート数を増やして勘定ごとに作成する方が整理しやすい場合もあります。
月毎にブロックを分ける
自作の電子帳簿の場合、月毎に表示させる機能をマクロで組んで表示させることも可能ですが、正直結構面倒くさい作業になります。
なので、初めから月毎にブロックを分けて登録していくことで、月単位でフィルターを適用させる手間を省く事ができます。
もちろん自分でマクロを組んで月毎に表示できる電子帳簿に作ることも可能ですし、なんならその方が高性能ですので気分的にも良いでしょう^^
ただし私の様に無料で、かつ短時間で電子帳簿を作りたいという場合はシンプルに月毎にブロックを分けて登録していく事がオススメです。
表内の構成
自作の電子帳簿内の構成は、可視性の確保にもある通り取引年月日、勘定科目、取引金額で検索した際にヒットする様にする必要があります。
そのため、電子取引のデータ(画像)で確認できていたとしても検索でヒットさせるために、該当の取引の画像やPDFと一緒にこれらの項目も設けてセットで記述しておく必要があります。
ちなみに上記の画像は支出のシートのデータですが、当然支出だけではなく収入のシートにも同様にこれらの項目を設ける必要があります。
先にどちらかのシートを作成してから、
それをコピペすれば短時間で仕上げる事ができます!
とまぁ、「電子帳簿を自作」と聞くとややこしくて難しいイメージがありましたが、実際に作ってみるとほんの数分で完成させる事ができる位に簡単な作業となりました。
自作の電子帳簿に関する注意点
電子帳簿の自作は案外簡単ではありますが、いくつか注意点があります。
状況によっては苦労して1年分の取引データの入力という莫大な作業時間が無駄になってしまう可能性もありますので、併せてご紹介いたします。
データの管理は厳重に
まずは、当たり前ですが電子帳簿はデータですので、簡単に削除する事ができます。
データ整理の際に間違って削除してしまった場合に復元ができない状態になってしまうと、再度作り直しが必要になります。
そのため、電子帳簿に添付する画像データやPDFデータの原本は、電子帳簿に添付したとしても念の為別ファイルなどで保管しておく事をオススメします。
この場合もデータが乱雑にならない様、最低限月毎のファイルに分けて作成される事をお勧めします。
バックアップをとっておく
2つ目の注意点としては、上記のデータ削除にも繋がる部分です。
それはデータのバックアップをとっておくというものです。
私もそうですが、年始に一気に作業するとなると莫大な時間がかかりかなり大変な思いをするので、基本的に1ヶ月ごとに記帳を進めています。
しかし、その場合は1年間を通してPC上に電子帳簿のデータを保管しておくことになりますので、その1年間の間にPCが壊れてデータが消失してしまうと、それまでの苦労が水の泡になります。
加えて、前述でご紹介の画像やPDFデータもPC上に保管している場合は、それごと丸々消失してしまうことになるので、非常に厄介な状況になります。
なので電子帳簿を自作する場合は、必ずバックアップを取っておき万が一の時の備えにする様にしましょう!
まとめ
以上が、電子帳簿を自作する場合の具体的な方法と、その際の注意すべきポイントの紹介となります。
記事中にもご紹介の通り、何もかもが面倒くさいという場合には、freeeなどの会計ソフトに追加料金を支払うことで電子帳簿の機能も利用すうる事ができる様になります。
しかし、出来る限り出費を抑えたいという場合には、ご紹介の作成方法と注意点を把握していれば案外簡単に電子帳簿の作成が可能ですので、この記事が参考になればと思います。